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2017年2月22日 (水)

Vol.374 Tさんとのお別れ

 当院の男性最高齢者であったTさんがお亡くなりになられました。

 当院が開院して間もなくからのお付き合いだったので、4年近くをご自宅でかかりつけ医として担当させていただきました。Tさんは歩くのは1人では難しい方でしたがかくしゃくとされていて、いつも診療時は布団に横になり冬でもうちわを扇ぎながらニコニコして対応してくださいました。

 当院初診時が思い出深いのですが、他の病院にかかりつけだったTさんは、4年前の3月に肺炎で入院され4月に退院して自宅療養されていたようです。5月のゴールデンウィークの真っ只中に再び高熱を出されて、同居されている娘さんが救急車を呼ぼうとされたのですが、Tさんは「入院はしたくないから救急車は絶対に呼ぶな!」と苦しい中でも娘さんにしっかりと伝えらえたようです。しかし、高熱で苦しむTさんを娘さんはどうすることもできず、知人から訪問診療を行う当院のことを紹介されて電話をしてこられました。

 ただ当院も全くの飛び込み往診は初診では受け付けないというのが原則なので、一度はお断りしたのですが、電話口で娘さんが「往診してくれるというまでは絶対にこの電話は切りません!」と必死になって訴えられ、こちらも根負けして往診したのでした。入院はされないというTさんの意向を改めて当院も確認し、肺炎と診断を付けてご自宅で抗生剤等の点滴加療をして回復されました。

 そのような派手な初めての出会いでしたが、その後は比較的穏やかに過ごされ、診療に伺うのもこちらもいつも楽しみにしていました。

 ここ数か月次第に食が細くなってこられ、娘さんに「老衰の段階だと思います」とお話をして、Tさんに負担のないように、最低限の点滴や緩和ケア対応を訪問看護と共に行い、最後まで本当に穏やかな姿で逝かれました。
 介護をされていた娘さんも不安感やお父様と別れる寂しさから毎日涙されていましたが、看取りの時には涙と共に笑顔もみられていました。

 
 数年に渡り一人の患者さんの自宅での療養生活に関わり、そして最後を看取る。このような経験をさせていただき、Tさんには医師として人間としてとても感謝しています。

 Tさんのように「家で生活したい!」という患者さん方の思いに沿って、これからも在宅医として働いていきたいと思いますconfident
 

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